私の履歴書④遠山元一(昭和31年6月掲載)

遠山元一(とうやまもといち)(1890年~1972年)

 大正-昭和の実業家、日興証券の創業者。証券業界の振興に努めた経営者。

 明治23年埼玉県比企郡に生まれる。実家は郷きっての豪農であり、彼は「梅屋敷のお坊っちゃん」と呼ばれており、なに不自由ない生活を送っていた。しかし幼少の頃、父の道楽のため、田畑・山林・屋敷も人手にわたり、高等小学校を出てから東京に出て一旗揚げようとした。

 まず、兜町の半田庸太郎商店には小僧として入り、次に市村金次郎商店には手代として入店した。その間兜町の栄枯盛衰を見て幾多の教訓を得、そして大正7年独立して川島屋商店を開いた。小店舗での機敏な立ち回りや、電話での注文の便利さが買われ開店後どうやら商売ができ、大正9年には株式会社川島屋商店と改組した。そして仲買人になり、さらに公社債の売買も始めた。新時代の証券業の理想と抱負を実現する近代的企業を目指した。例えば新聞に広告を掲載し、単に売らんかの宣伝ではなく大衆の啓発を考え証券業の地位向上を考えていた。

経営方針としても、株式市場を改善し、業界の地位・信用の向上を目指し、「得意先の共存共栄」「親切で正直」を上げている。

昭和19年には日興証券株式会社を設立した。

 

遠山元一氏の想いは、1.お家の再興‥長男の責務として名家復興を夢見る、2.母への思い‥苦労した母への孝行のためにも家復興、3.コミュニケーション‥変換時における相談相手、4.一貫した目標‥証券業の地位向上、などである。

 

*名言・格言『経営者は毎日が剣の刃渡り』

    「兜町に入って50年以上になる。過去を振り返ってみると、朝から晩まで剣     の刃渡りをしているようなものだった」

 

(まとめ:パワーポイント25枚、講義:45分)

 

                             以上