私の履歴書⑪石橋正二郎(昭和32年2月掲載)

石橋正二郎1889年~1976年)

 日本の実業家。家業を伸ばし日本足袋株式会社を設立。さらに自動車用タイヤの国産化に着手し、ブリジストンタイヤを創立する。日産自動車と合併したプリンス自動車工業の育ての親でもある。

 1889年福岡県久留米市に生まれる。家の仕事はよろずや「嶋屋」を開業しており、彼は商業高校を卒業後兄と家業を引き継いだ。その後足袋専門に改め、経営戦略として、1.均一価格制、2.安値の価格革命、3.古風なブランド変更などの経営の新機軸を実行し飛躍的な実績を上げた。

 商品開発においても、足袋の底にゴムを貼り耐久性を増し、草履いらずの足袋の開発、さらに「アサヒゴム靴」を本格的に国内販売のほか世界各国に輸出した。

 1931年には日本足袋㈱タイヤ部を独立させ資本金100万円でブリジストンタイヤ㈱を誕生させた。敗戦による損害も大きかったが、復興のための輸送手段の回復のため唯一のタイヤ供給者として大いに貢献した。

 

 ◎事業観

   「四十五才まで九州の田舎に住んでいたから、視野を広くするためには新聞を読んで時勢を洞察し施策を練ることに努めた。零細な家業からスタートし、新しい需要の起こるような独創的なものに目をつけ、人に先じ、人のマネをしたのではない。何事をなすにも真心を持って、物事の本末と緩急を正しく判断し、あくまで情熱を傾け、忍耐強く努力したのであって、世の中にために尽くすという誠心誠意こそ心理だと思っている」(『私の歩み』)        

 

*事業家の資質=「情報力・構想力・目的選択力・決定力・革新力・事業化力・組織力」

 

 

 (まとめ:パワーポイント28枚、講義:45分)